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様々な眼差し 2

私が通っていた小学校は、歴史の古い伝統校であった。
入学した時はボロボロの木造校舎であったが新築工事が始まり、高学年の時にそれはそれは立派な校舎が出来上がった。

ある日の事。
日直だった私は、先生ともう一人の日直のA君との3人で資料を抱え、ピカピカの廊下を早歩きで歩いていた。
準備に手間取り、教室に向かう途中で始業チャイムが鳴ってしまったのだ。

渡り廊下に差し掛かった時、向こうから小さな集団がやって来た。
児童数は10人くらいで少ないのに先生の数が多い。
それが近づいた時、特殊学級(今の支援級)の人たちである事に気が付いた。

すれ違う時に先生が「おはようございます。」と挨拶をしたのに習い、A君と私も挨拶をした。

特殊学級の先生方も笑顔で挨拶を返す。
しかし、子供達から返って来たのは言葉ではなかった。

それは唸り声のようにも聞こえた。
先生は気にする様子もなく、子供達にも「はい、おはよう。おはよう。」と声を掛けている。

私が隣を歩いているA君を見ると、ちょっと驚いたように目を見張っていた。

集団が行ってしまうと、A君は先生に「ねぇ、先生、今の特殊学級の子達だよね。初めて近くで見たよ!」と興奮した様に言った。

急いでいるにもかかわらず、先生は足を止めてクルリと振り返り私達を見た。
「そうだね。○○学級の子供達だよ。彼らとは一緒に勉強したり遊んだりする機会は無いかもしれないけれど、同じ学校の仲間だよ。」

その言葉にA君と私が「はい。」と頷くと、先生は安心した様にまた前を向き、再び私たちは早歩きで教室へ向かった。

小学校の時の遠い記憶。
慈愛に満ちた先生の眼差し、無邪気な好奇心に溢れたA君の眼差しがよみがえる。
あの時、私は一体どのような眼差しであの子供達を見つめたのだろうか。

彼らを見た時、「どうしてみんな似たような体つき、似たような表情なの?なんだか不気味じゃない?」、唸る様な声を聞いた時、「この子達、言葉が話せないの?可哀想に。」と思った。

きっと私の眼差しは、いぶかしげで憐れみに満ち、見下したような冷たいものであったに違いない。

先生が「あの子達は仲間だよ。」と言った時も、優等生ぶって素直に「はい。」と答えたものの、内心では「同じ学校だけど、、あの子達と私は違う。世界が違うじゃない。」と思っていたのだ。

次男に向けられたあの眼差しを見て、今更ながら私が特殊学級の子供達と先生方の心を傷付けてしまったことを悟った。

「ごめんなさい。」
それはもう決して受け入れられない謝罪。
そう知りつつも、私は心の中で謝らずにはいられなかった。

3に続く。

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様々な眼差し 1 

週末の事。
梅雨の合間の青空を見た夫は「久しぶりに○○でも行くか?」と言い出した。

そこは、以前は時々遊びに行ったのだが最近は行っていない所だ。
次男も喜んで同意し、早速出掛けることになった。

公園を散歩して、お買い物をして、おいしいランチを食べて、楽しい一時を過ごした。

帰りの電車はそこそこ混んでいる。
幸い3人バラバラではあるが、座ることが出来た。

私と次男は通路を挟んで向かい合わせの席。
夫は少し離れたところに座った。

次男の両隣は、20代後半くらいの女性と中年のおばさんであった。
若い女性はスマホを見ていて、おばさんは隣のおばさんとお話をしている。

次男は大人しく普通に座っていたのだが、途中で楽しかったことを思い出したのか、急にニコニコしながら体を前後に揺すって手をヒラヒラし始めた。

「まずい!」
私は強い視線を次男に送った。

次男もハッとした様に自分の行動に気が付き、私の方を見て「分かっているよ。」と言うように、普通に戻った。

おばさんは話に夢中で無関心。

しかし、女性の方はしっかり気が付いてしまったのである。

身体をビクッとさせて次男の方を見た。
警戒するような怪訝な眼差し。
やがてそれは、何とも言えない冷たい眼差しへと変わっていった。

「なに?この子。急に変な仕草をして。」
「そうか。普通の子じゃないんだ。障害者なんだわ。嫌だなぁ、、、」

そんな彼女の心の声が聞こえてくるようであった。
そして、次の駅に着くと席を立ってしまった。

先週は高校最初の授業参観日があり、次男の学校での様子を見てきた。
担任とは話せなかったが、数学の先生と少しお話が出来て「真面目に頑張っていますよ。」と、優しい眼差しで言って下さった。

休み時間には、最近よく話に出てくる外部生だろうか。
2人で楽しそうにおしゃべりをしていた。
新しい友人は、素直で明るい眼差しで次男を見ていてくれた。

次男の周りの人たちの温かい眼差しを見て安心した数日後。
こんなに落ち込むなんて、、、
落ち込んでいるのは私だけ。
女性の表情を見ていない次男は全く気にしていない。
もちろん席の離れている夫は知る由もない。

しかし私はその女性を責める気にはなれなかった。
これが障害者に向けられる世間の一般的な眼差しなのだ。

そして彼女の眼差しは、遠い昔、私が小学生高学年の頃の記憶を思い出させた。

2に続く。

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義兄のおかげ 2

義兄は会社を休みがちになった頃からいろいろ検査を受け、長男が小学校低学年の時に「アスペルガー症候群」である事が分かった。
義兄が会社を辞めて、義母は私達の子育てに口出しをしなくなった。
あれだけ「お勉強」に熱心だったのに、孫達にその言葉を掛けた事は無い。

次男が「精神発達遅滞」「自閉症」で特別支援学級に進む、と告げた時、観念したような表情を見せながらも「そう、、もう小学生ね。おめでとう。」と笑ってくれた。
もしも義兄が自分の特性に気付かず無理をしていたら、次男の障碍も支援学級行きも認めず「育て方が悪い!」と私が責められていたと思う。

結婚する前に義母は、亡くなった私の父の病気について尋ねた。
「親戚の中で、同じ病気で亡くなった人はいる?」
私が「いません。父だけです。」と答えると、ホッとした様に「こんなこと聞いてごめんなさいね。でも、遺伝は怖いですからね。結婚する以上聞いておかないと。」と言ったのだ。

発達障碍の遺伝性について確立されてはいないが、「多少はあるかな?」というのが一般的な感覚だと思う。
次男の障碍を聞いた時、義母は私に言った「遺伝は怖い。」の言葉を思い出しただろうか。

あれから現在に至るまで私の子育ては大変な事も多かったが、義母の干渉を受けずに済んだのは幸運であった。
夫はもう、出掛ける時に仕事の本を持ち歩く事は無い。
彼も、お荷物のように感じている義兄のおかげで義母の呪縛から解き放たれたのだ。

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義兄のおかげ 1

先週の事。
義兄から夫に「具合が悪い。」と連絡があり、夫は「週末に行かなくちゃいけないかも、、」と言っていた。
幸い金曜日に「回復した!」とのメールが入り、夫は行かずに済んだ。

義母と義兄はお互いもう会いたくないらしく、2人とも具合が悪くなると夫を頼る。
義母はもう年なので仕方ないとしても、自分とあまり年の変わらない義兄の事は相当負担に思っているらしい。

でも、私は密かに義兄に感謝している部分がある。

結婚して間もない頃に夫の実家に遊びに行った時、義母は夫に「ちゃんと勉強してる?」と聞いた。
私は耳を疑った。
成人して社会人となり、結婚して世帯を持った夫に対して「勉強してる?」って???
そして一つの疑問が解決した。

夫は出掛ける時に、必ず仕事に関する本を持ち歩いた。
旅行にまで持って行こうとするので「重いし遊びに行くのだから必要ないでしょう?」と私が言っても「でも、無いと落ち着かないんだよ。」と譲らなかった。
それは、「常に勉強していなければならない。」という義母の呪縛だったのだろう。

長男が生まれた時も、義母は嬉しそうに抱っこしながらも夫に「ちゃんと勉強させるのよ。」と言っていた。
それを聞いて「ヤレヤレ、、、先が思いやられるな~」とうんざりしたものだ。

義兄の精神状態は長男が生まれてから悪化して、会社を休みがちになった。
しかし、長男の事は本当に可愛がってくれた。
少し大きくなって伯父さんに懐き始めると、「今は長男君だけが心の支えなんだよ。」とまで言った。

その優しさの一方で、実家ではかなり荒れることもあったようだ。
そしてますます会社に行かなくなり、ついには辞職してしまった。

2に続く。

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次男:高1 無欲と無邪気

気が付けばもう6月半ば。
次男は毎日楽しく通学している。

週末に約束して遊ぶようなお友達はいないが、学校ではみんなと楽しくいろいろおしゃべりしていると言う。
最近では、外部生の名前がよく出てくるようになってきた。

初めての定期テストの結果は、全教科80点以上という素晴らしい成績であった。
そう、点数だけ見れば、、、
内容を見ると、教科書通りの基礎問題である。
次男の学校のクラスは習熟度別なので、上のクラスの問題はこれより難しいのだろう。
思わず「もっと頑張れば、そしてうっかりミスを無くせば、もう少し点数が伸びるんじゃないか。そうすれば上のクラスに行けるのではないか。」と欲が出る。

しかし肝心の次男は「ねえ、すごいでしょう?高校のテストは量が多くて大変だったけど、最後まで頑張ったんだよ。」と得意そうであった。
そんな無邪気な笑顔を向けられたらたまらない。
「うん、頑張ったね!」と、私も笑顔で答えた。

その夜、帰宅してテストを見た夫は一言。
「高校生にもなって、自分からテストの答案を見せるなんてホント幼いよな~。」

そういえば、長男はこちらから言わないと見せなかった。
きっと闇に消えていった小テストも数多くあるだろう。
次男は小テストの結果も、いちいち自分から申告するのである。

勉強だけではない。
体育祭や合唱コンクールなどの勝ち負けや順位の付く行事の時も、結果には拘らず終わると「楽しかった~。」と無邪気に言うのである。
この点は、順位こだわり型発達障碍児の親たちからは羨ましがられた。

次男が発達に凸凹を持ちながらも幸せに毎日を過ごせるのは、その無欲と無邪気さが許される環境に置かれているからだろう。
改めて、先生方とクラスメートたちに感謝の気持ちが湧いてくる。

高校の先にもこのような場所があれば良いなあ、と切実に思う。

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緑茶の成分、ダウン症患者の認知能力向上に効果

YAHOOニュース 6月7日配信
AFP=時事 

英医学専門誌「ランセットニューロロジー」に掲載された論文。
若年成人のダウン症患者を対象にした実験で、「没食子酸塩エピガロカテキン45%含有カフェインレス緑茶サプリメント」を服用したグループは、偽薬(プラセボ)を服用したグループに比べて、記憶パターン、言語想起、適応行動などの項目についての評価が高かった。

能検査では、緑茶に含まれる「没食子酸塩エピガロカテキン」によって、脳の神経細胞の接続方法に改変が起きた事が明らかになった。

今回の研究結果は、「治癒」とみなすべきではないが、患者個人の「生活の質」の向上につながるツールとなり得る。

とまあ、こんな感じである。

感じた疑問
①没食子酸塩エピガロカテキンの認知能力向上効果はダウン症だけに有効なのか、ダウン症以外の人にも有効なのか?

②ここで使用したサプリメントと同量の没食子酸塩エピガロカテキンを緑茶で取ろうとしたら、一体何杯分になるのだろう?

①について緑茶の効果を調べたら、緑茶+運動がアルツハイマー型認知症の予防になる、との研究結果が米国ミズーリ大学から2015年に発表されていた。

日本でも、金沢大学、東北大学、更に静岡県立大学と伊藤園との共同グループが、緑茶が認知症発症を抑えるとの発表を行っている。

この研究成果は認知症の予防効果であって既に発症した認知症の改善ではないが、没食子酸塩エピガロカテキン効果(長い、、、)がダウン症患者にとどまらない事を感じさせる。

②について
これは調べてもよく分からなかった。
東北大学の研究では、1日2杯以上飲むと予防に効果があるらしい。
改善するためにはもっと飲む必要がありそうなので、サプリメントが良いのだろう。

お茶好きの私にとって、緑茶が評価されるのはちょっと嬉しい。

ご訪問ありがとうございました。


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ガラスの仮面

GYAOの無料動画、ガラスの仮面をつい見てしまう。

漫画が連載を始めたのは、私がまだ中学生の頃だ。
本当に面白くてみんなで夢中になったものだ。

OLだった頃、先輩に全巻揃えている人がいてちょっとづつ貸して頂いた。
帰りの電車で読みふけり、降りる駅を乗り越してしまう事もあった。

主人公の北島マヤは、一度見たお芝居のセリフや仕草を一度で覚えてしまう。
これって、サヴァン?と思ってしまう所に年月の流れ、自分の環境の変化を感じる。

本当ならマヤちゃんも亜弓さんもおばさんであり、月影先生はおいくつ??
結末を見てみたいようでもあり、もういっそのこと未完のままでも良いような気もする。

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自閉症関連遺伝子

自閉症を悪化させている遺伝子を発見、米国エール大学、2015年7月16日
自閉症の原因となる遺伝子を特定、東京大学、2016年3月16日

すご~く簡単に要約すると、
エール大学
FOXG1遺伝子の働きが強いと、大頭症と自閉症の程度が悪化する。
FOXG1遺伝子は、重い自閉症を発見するマーカーとなったり、新しい治療薬の標的になり得る。
  
東京大学
タンパク質PX-RICSが欠損しているマウスでは、GABA受容体が神経細胞の表面に発現しない為に、社会認知機能に障害を起こして、自閉症に類似した行動異常を表す。
PX-RICSには、脳の神経細胞の活動を抑えるGABA受容体を、神経細胞の表面へ運ぶ働きがある。
GABA受容体の輸送が、自閉症の発症に関係することが明らかになった。
この輸送メカニズムを標的とした薬剤の開発など、自閉症の新たな治療に貢献できる可能性がある。 

本当に人類の科学力の進歩には驚かされる。
遺伝子とは、いわば生物すべての命の設計図。

昔、マラリアと鎌状赤血球との関係の話を聞いた時、遺伝子の不思議を感じた。
自閉症は確かに難しい障碍である。
でもその存在には、人類には計り知れない何かの意味があるような気もする。

いや、もしかしたらそんなものは無いのかもしれない。

これからどんどんこのような遺伝子解析が進み、様々な障碍の原因が解明されて、治療へとつながっていく事だろう。
その先にある未来はユートピアなのだろうか。

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アウイナイト

Author:アウイナイト
ユニークな子供達のおかげで、今まで見えなかった世界が見えてきました。
内気な私ですが、前向きに生きていきます。

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